コーポレートサイトは、企業の「顔」であると同時に、優秀な人材の採用や新規案件の獲得を支える重要な営業ツールです。しかし、「デザインが古くなった」「スマホで見づらい」といった表面的な理由だけでリニューアルを進めると、期待した効果が得られないどころか、検索順位の低下を招くリスクもあります。
本記事では、Web担当者が知っておくべきリニューアルの適切なタイミング、具体的な進め方の6ステップ、そしてSEO評価を落とさないための技術的な注意点まで解説します。
目次

コーポレートサイトのリニューアルを検討すべきタイミング
Web業界の技術やユーザーの視聴環境は数年単位で劇的に変化します。まずは、自社サイトが以下の「更新のサイン」に該当していないかチェックしてみましょう。
デザインの陳腐化とブランドイメージの乖離
Webデザインのトレンドは3~5年で変化します。数年前には最新だったデザインも、今では「古い企業」という印象を与えてしまう可能性があります。特に、グラデーションの使い方、余白の取り方、フォントの選定など、細部の演出が時代遅れになっていると、競合他社と並べたときに見劣りする原因となります。現在の経営戦略やブランドメッセージが、視覚的に正しく表現されているかを見直す時期です。企業の成長やビジョンの変化に合わせて、サイトもアップデートすることが求められます。
モバイル非対応およびマルチデバイスにおける操作性の限界
BtoB企業であっても、現在はスマートフォンの閲覧が大きな割合を占めます。PC表示をただ縮小しただけのサイトや、文字が小さすぎてタップしづらいサイトは、ユーザー体験(UX)を損なうだけでなく、Googleからの評価も低下します。レスポンシブデザインに未対応の場合、離脱率が高まり、せっかくの訪問者を逃すことになります。また、タブレットや大画面モニターなど、多様化するデバイスに対して柔軟に対応できる設計になっているかも重要な判断基準です。
更新作業の属人化とCMSの機能不全
「特定の社員しか更新できない」「HTMLの知識がないと触れない」といった状態は、情報発信のスピードを削ぎます。市場の変化に即応できず、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクもあります。また、古いCMSを使い続けることは、セキュリティリスクの増大や、プラグインの不具合による表示崩れを招く原因となります。担当者が退職した際に運用が止まってしまう体制は、企業として避けるべき状態です。誰でも簡単に更新できる仕組みへの移行が急務といえるでしょう。
集客力(SEO)の低下とコンバージョン率の伸び悩み
検索順位が徐々に下がっている、あるいは訪問者はいるのに問い合わせに繋がらない場合、サイト構造そのものに問題がある可能性が高いです。市場の検索ニーズとコンテンツがズレていないか、導線が複雑すぎていないかを確認すべきタイミングです。また、CTAボタン(行動喚起ボタン)の配置が適切か、フォームが長すぎて離脱を招いていないかなど、コンバージョンを阻害している要因を洗い出す必要があります。データに基づいた改善なくして、成果の向上は見込めません。
AI検索(AEO)への対応不足と将来的な検索市場からの脱落
ChatGPTやGoogleのSGE(Search Generative Experience)など、AIが回答を生成する「AI検索最適化(AEO)」への対応が急務となっています。従来のSEOだけでなく、AIに正しく情報を読み取らせる構造化データなどの対応が遅れると、将来的な流入減に繋がります。特に「FAQ形式のコンテンツ」や「明確な回答を提示する構成」を持つページは、AI検索で優先的に引用される傾向があります。次世代の検索行動に備えた設計が、今後の競争力を左右します。
コーポレートサイトのリニューアルがもたらすメリット
リニューアルは単なる「作り替え」ではありません。戦略的に行うことで、ビジネスの成長を加速させる強力なエンジンとなります。
ブランド価値の再定義とステークホルダーからの信頼獲得
最新の情報と洗練されたUI(ユーザーインターフェース)は、「この企業は進化し続けている」という信頼感を与えます。顧客だけでなく、求職者に対しても強力なアピールとなり、採用ブランディングの強化に直結します。特に若手人材は、企業の公式サイトを通じて企業文化や働く環境を判断する傾向が強いため、サイトの印象が採用成否に大きく影響します。また、投資家や取引先といったステークホルダーに対しても、透明性と先進性をアピールする重要な接点となります。
最新のSEO・AEO対策による検索流入の最大化
リニューアル時に内部構造を最適化することで、検索エンジンからの評価をリセット・向上させることが可能です。特にAI検索を意識した構造化データのマークアップを行うことで、次世代の検索市場でも優位に立てます。タイトルタグやメタディスクリプション、見出し構造の見直しに加え、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を満たすコンテンツ設計を行うことで、検索エンジンとユーザー双方から評価されるサイトへと生まれ変わります。
成約率(CVR)を高める導線設計とUXの改善
ユーザーが求める情報に最短で辿り着けるよう設計し直すことで、離脱率を下げ、問い合わせや資料請求といったコンバージョン(成果)を最大化させることができます。ナビゲーションの簡素化、CTAボタンの視認性向上、入力フォームの項目削減など、ユーザー視点での導線改善が成果を左右します。また、ユーザーテストやヒートマップ分析を活用することで、データに基づいた継続的な改善が可能となり、投資対効果を最大化できます。
運用フローの効率化による人的コストの削減
直感的に操作できるCMS(WordPressなど)の導入やテンプレート化により、外部発注の手間や社内の修正工数を大幅に削減。浮いた時間をより戦略的なマーケティング活動に充てられるようになります。特に、ニュース更新やブログ投稿、サービス紹介ページの追加などが社内で完結できるようになれば、スピーディな情報発信が実現します。また、承認フローのオンライン化や、プレビュー機能の活用により、関係者間のコミュニケーションコストも削減されます。
失敗しないコーポレートサイトリニューアルの進め方
リニューアルを成功させるには、制作に着手する前の「準備」が8割です。以下の6つのフェーズに沿って進めるのが定石です。
【フェーズ1】現状分析とKGI/KPIの策定
まずはGoogleアナリティクスなどで現状の課題を数値化します。「問い合わせを1.5倍にする」「採用コストを20%削減する」といった、リニューアルによって達成したい具体的な目標(KGI/KPI)を明確にします。訪問者数、直帰率、滞在時間、コンバージョン率といった指標を洗い出し、どこにボトルネックがあるかを特定することが重要です。また、競合他社のサイト分析や、ユーザーアンケートを実施することで、客観的な視点を取り入れることも効果的です。目標が曖昧なままでは、リニューアル後の評価ができず、投資対効果を測ることができません。
【フェーズ2】RFP(提案依頼書)の作成と制作会社の選定
自社の要望をまとめたRFPを作成し、複数の制作会社に提案を依頼します。価格だけでなく、自社の業界理解や、SEO・マーケティングの知見があるかどうかを基準にパートナーを選びましょう。過去の実績やポートフォリオを確認するだけでなく、担当者とのコミュニケーションの取りやすさや、提案内容の具体性も重要な判断材料です。また、公開後の保守・運用体制や、トラブル発生時のサポート体制についても事前に確認しておくことで、長期的なパートナーシップを築くことができます。
【フェーズ3】情報設計(UI/UX)とコンテンツ企画
サイトマップを作成し、必要なページと情報の優先順位を整理します。ユーザーがどのような心理でサイト内を回遊するかをシミュレーションし、理想的な導線(カスタマージャーニー)を設計します。訪問者のペルソナ(属性・課題・目的)を明確にし、それぞれに最適な情報提供の順序を設計することが重要です。また、既存コンテンツの棚卸しを行い、不要なページの統廃合や、新規コンテンツの企画を並行して進めます。ワイヤーフレームを作成し、関係者間で認識を揃えることで、後工程での手戻りを防ぐことができます。
【フェーズ4】デザイン制作と構造化データのマークアップ
設計に基づきデザインを制作します。見た目の美しさだけでなく、アクセシビリティ(誰でも使いやすいか)や、AIに情報を正しく伝えるための構造化データの実装も同時に進めます。カラースキーム、フォント、アイコン、画像素材などのデザインシステムを統一し、ブランドの一貫性を保ちます。また、Schema.orgに準拠した構造化データを実装することで、検索結果でのリッチスニペット表示を狙うことができます。デザインカンプの段階で複数の関係者からフィードバックを得て、細部まで作り込むことが品質向上の鍵です。
【フェーズ5】テスト公開と301リダイレクトの徹底
本公開前にテスト環境でバグや表示崩れがないかチェックします。特に、旧サイトからURLが変わる場合は、検索評価を引き継ぐための「301リダイレクト」の設定が必須です。複数のブラウザやデバイスでの動作確認を行い、表示の崩れやリンク切れがないかを入念にチェックします。また、フォームの送信テストや、決済機能がある場合は決済フローの確認も欠かせません。リダイレクト設定は、旧URLと新URLの対応表を作成し、漏れがないよう管理することが重要です。SEOツールを使って、リダイレクトが正しく機能しているかを確認しましょう。
【フェーズ6】公開後の効果測定とPDCAサイクルの構築
公開はスタート地点です。事前に定めたKPIが達成できているか、ヒートマップツールなどでユーザーの動きを確認しながら、継続的な改善を繰り返します。Google Analytics 4やSearch Consoleを活用して、流入経路、ユーザー行動、コンバージョンの変化を定期的にモニタリングします。また、A/Bテストを実施してCTAボタンの文言や配置を最適化したり、ユーザーアンケートを実施して定性的なフィードバックを収集したりすることで、データに基づいた改善を積み重ねることができます。月次レポートを作成し、関係者と共有することで、組織全体でサイト改善に取り組む体制を構築しましょう。
【規模別】リニューアル費用の相場とコストを抑えるポイント
予算規模によってできることは大きく異なります。自社がどの範囲を目指すべきか把握しておきましょう。
| 規模 | 費用目安 | ページ数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 50万~150万円 | 10P前後 | 既存テンプレート活用、最低限の情報整理 |
| 中規模 | 150万~500万円 | 30P前後 | オリジナルデザイン、CMS導入、戦略的導線設計 |
| 大規模 | 500万円以上 | 100P~ | 多機能システム連携、詳細なコンテンツ制作、多言語対応 |
小規模サイトは、スタートアップや個人事業主、最低限の情報発信を目的とした企業に適しています。中規模サイトは、ブランディングや採用強化を目指す成長企業に最適です。大規模サイトは、グローバル展開や複雑な業務システムとの連携が必要な大企業向けとなります。自社の事業規模や目的に応じて、適切な予算設定を行うことが重要です。
予算を抑えるための自社素材の活用と優先順位付け
コストを抑えるには、写真素材や原稿を自社で用意することが有効です。また、すべてのページを一新するのではなく、主要なページのみをリニューアルし、残りは順次更新していく「段階的リニューアル」も検討の価値があります。特に、TOPページ、会社概要、主力サービス紹介など、アクセスの多いページを優先的に改善することで、限られた予算で最大の効果を得ることができます。また、制作会社との役割分担を明確にし、社内で対応可能な作業(原稿作成、素材提供、動作確認など)は自社で行うことで、外注コストを削減できます。長期的な視点で段階的に投資していく計画を立てることが、無理のない予算管理につながります。
コーポレートサイトのリニューアルにおいてSEO評価を下げないための注意点
「リニューアル後に検索流入が激減した」というトラブルは少なくありません。以下の技術的要件を必ず守りましょう。
検索流入の多い「資産ページ」を特定し、削除を回避する
アクセス解析を行い、現在検索から人を集めているページを特定します。リニューアル時にこれらのページを安易に削除したり、内容を大幅に減らしたりすると、サイト全体の評価が急落する恐れがあります。特に、ロングテールキーワードで上位表示されているブログ記事や、専門性の高いコンテンツページは、企業にとって重要な資産です。これらのページは、内容を拡充させたり、デザインだけを刷新したりすることで、SEO効果を維持しながらリニューアルを進めることができます。また、過去に公開したプレスリリースや導入事例なども、信頼性の担保となるため、可能な限り残すことが推奨されます。
URL変更に伴う301リダイレクト設定の技術的要件
URLが変更になる場合、旧URLから新URLへ自動で転送する「301リダイレクト」を全ページに対して正しく設定します。これを怠ると、これまでに蓄積したSEO評価(ドメインパワー)がリセットされてしまいます。リダイレクトは、サーバー側で.htaccessファイルやnginxの設定を通じて行うのが一般的です。また、リダイレクトチェーンを避け、旧URLから新URLへ直接転送されるよう設定することが重要です。設定後は、Google Search Consoleのカバレッジレポートで404エラーが発生していないか確認し、外部からのリンクが正しく新URLに転送されているかをチェックします。リダイレクト設定は一度設定すれば終わりではなく、最低でも1年間は維持することが推奨されます。
表示速度の高速化とCore Web Vitalsへの対応
Googleの評価指標である「Core Web Vitals」を意識し、画像の軽量化やコードの最適化を行います。表示速度が遅いサイトは、ユーザーの離脱を招くだけでなく、検索順位においても不利に働きます。LCP、FID、CLSといった指標を改善するため、WebPという画像フォーマットの採用、不要なJavaScriptの削減、CDNの活用などを検討します。また、モバイル環境での表示速度を特に重視し、PageSpeed Insightsなどのツールで定期的に計測・改善を繰り返すことで、ユーザー体験と検索評価の両面で優位に立つことができます。
コーポレートサイトのリニューアルはYUTORIにご相談ください
株式会社YUTORIは、Webクリエイティブ制作から採用支援、マーケティングプロモーションまでを包括的に手掛ける、企業成長の総合パートナーです。設立1年で制作実績100件を突破しており、企業のブランド価値を的確に反映した高品質なWebサイト制作を提供しています。単なるデザインの更新に留まらず、Web広告運用や採用単価の88%削減といった具体的な「成果」にコミットする戦略的な提案が強みです。関わる全ての方の幸せを追求する姿勢を大切に、お客様のビジネスに「ゆとり」を生み出す最適なリニューアルを支援いたします。サイトの課題分析や戦略立案から伴走いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。



