内定式のコンテンツ完全ガイド|学生の心を掴み辞退を防ぐ秘訣

サムネイル

近年、売り手市場が続くなかで、内定辞退は多くの企業にとって深刻な課題となっています。内定を出した後も、学生の入社意欲を維持・向上させるための継続的なフォローが欠かせません。その中でも「内定式」は、内定者との重要な接点であり、そのコンテンツ次第で学生のエンゲージメントや帰属意識は大きく変わります。

この記事では、形骸化しがちな内定式を「学生の心を掴み、内定辞退を防ぐ」ための戦略的なイベントに変えるための具体的なコンテンツを、対面・オンラインのケースに分けて徹底解説。企画から実行、振り返りまでのステップも網羅した、人事・採用担当者必見の完全ガイドです。

内定式のコンテンツの重要性

単なるセレモニーと捉えられがちだった内定式は、今や企業の採用活動における最重要施策の一つに位置づけられています。内定者の不安を解消し、入社への期待感を高めるためには、練り上げられたコンテンツが不可欠です。なぜ、それほどまでに内定式のコンテンツが重要視されるのか、その3つの理由を解説します。

内定辞退と「内定ブルー」を防ぐための最重要施策

内定獲得後、多くの学生は「この会社で本当に良かったのだろうか」「うまくやっていけるだろうか」といった不安、いわゆる「内定ブルー」に陥ることがあります。特に、他社の選考も並行していた学生や、周囲の友人の状況を聞くうちに、その不安は増大しがちです。
内定式は、こうした内定者の不安を払拭し、自社で働くことへの自信と誇りを持ってもらう絶好の機会です。企業のトップからのメッセージや、歓迎ムードあふれるコンテンツを通じて、「あなたは私たちにとって必要な存在だ」という強いメッセージを伝えることが、内定辞退を防ぐ上で極めて効果的な一手となります。

入社意欲とエンゲージメントを高める最初の接点

内定式は、内定者が「お客様」から「仲間」へと意識を切り替える最初の公式行事です。選考過程では見えにくかった企業の文化や風土、社員の人柄に直接触れることで、学生は入社後の働き方をより具体的にイメージできるようになります。
ここでポジティブな原体験を提供できれば、「この会社で頑張りたい」という入社意欲、すなわちエンゲージメントの種を蒔くことができます。この最初の接点での体験が、入社後の定着率や活躍にも繋がる重要なステップであると認識することが重要です。

同期・社員との関係構築で帰属意識を醸成する

学生が企業生活に抱く不安の多くは「人間関係」に起因します。特に「同期と仲良くなれるか」「職場の雰囲気に馴染めるか」は、非常に大きな関心事です。内定式で同期となる仲間や先輩社員と交流し、良好な関係性を築くきっかけを提供することで、内定者は企業への心理的な繋がり、すなわち「帰属意識」を育むことができます。
「この仲間たちと一緒に働きたい」と感じてもらうことこそ、内定式が果たすべき大きな役割の一つです。共に働く「人」の魅力を伝えることが、企業への魅力を高めることに直結します。

学生が本当に求めている内定式のコンテンツとは?

企業側が伝えたいことだけを一方的に発信する内定式では、学生の心は掴めません。大切なのは、学生が「本当に知りたいこと」「体験したいこと」は何かを理解し、そのニーズに応えるコンテンツを企画することです。ここでは、学生が内定式に最も期待している2つの要素を解説します。

同期との交流: 横の繋がりを最優先に

多くの調査で、学生が内定式に最も期待しているのは「同期との交流」であることが示されています。これから共に働き、切磋琢磨していく同期は、学生にとって最も身近で心強い存在です。入社前に横の繋がりを築いておくことは、入社後のスムーズなスタートダッシュや、悩みを相談できる仲間がいるという安心感に繋がります。
式典や役員挨拶の時間も重要ですが、それ以上に、内定者同士がリラックスして話せる時間を十分に確保することが、満足度を高める鍵となります。自己紹介や簡単なゲームだけでなく、じっくりと対話できるような工夫を凝らしましょう。

若手社員との交流:ロールモデルとの出会い

経営層やベテラン社員の話ももちろん有益ですが、学生がよりリアルな関心を寄せるのは「少し先の未来の自分」を投影できる若手社員の姿です。年齢が近く、入社後の苦労や成功体験をリアルな言葉で語ってくれる若手社員は、学生にとって最高のロールモデルとなります。
「実際の1日のスケジュールは?」「仕事のやりがいは?」「プライベートとの両立はどうしている?」といった、学生が本当に聞きたいけれど役員には聞きづらい質問に、若手社員が本音で答える場を設けることは、企業への理解と信頼を深める上で非常に効果的です。

【対面編】記憶に残る内定式を実現するコンテンツアイデア

対面開催の最大のメリットは、場の空気感や熱量を共有できる点にあります。このメリットを最大限に活かし、内定者の五感に訴えかけ、記憶に残る一日を演出するための具体的なコンテンツアイデアを紹介します。

アイスブレイク&自己紹介を盛り上げる企画

単なる「名前と大学名を言うだけ」の自己紹介では、相互理解は深まりません。緊張をほぐし、コミュニケーションを活性化させるための工夫を取り入れましょう。

共通点探しゲーム
グループに分かれ、制限時間内にメンバーの共通点をできるだけ多く見つけるゲーム。自然と会話が生まれ、一体感が生まれます。

他己紹介
ペアになり、お互いにインタビューをした後、相手のことを全員の前で紹介します。人の話を真剣に聞く姿勢が身につき、意外な一面を発見できます。

GOOD & NEW
24時間以内にあった「良かったこと(GOOD)」や「新しい発見(NEW)」を共有するシンプルなアクティビティ。ポジティブな雰囲気で場をスタートできます。

チームビルディングを促進するグループワーク・研修

同期との協力を通じて達成感を味わう体験は、強力なチームビルディングに繋がります。企業の事業内容や理念に関連したテーマを設定することで、楽しみながら企業理解を深めることができます。

新規事業立案ワーク
自社のリソースを使って新しいサービスや商品を企画するグループワーク。学生の柔軟な発想に触れる機会にもなります。

自社製品/サービス改善提案
既存の製品やサービスについて、ユーザー目線で改善点をディスカッションし、発表します。当事者意識を醸成するきっかけになります。

理念浸透ワークショップ
企業の経営理念やバリュー(価値観)について、それが実際の業務でどのように体現されているかを社員も交えてディスカッションします。

企業理解が深まる社員座談会・社内見学

内定者が抱える疑問や不安を直接解消し、働く環境を肌で感じてもらうための定番コンテンツも、一工夫でより効果的になります。

社員座談会「ぶっちゃけトーク」
年次や職種の異なる複数の社員に登壇してもらい、「NGなし」で質問に答える座談会。匿名で質問できるツール(Slidoなど)を使うと、本音の質問が出やすくなります。

体験型オフィスツアー
ただオフィスを案内するだけでなく、実際に社員が使っているデスクに座ってみたり、社内カフェでドリンクを飲んだりする体験を盛り込みます。各部署で簡単なミッションを用意する「スタンプラリー形式」も人気です。

【オンライン/ハイブリッド編】一体感を生むコンテンツアイデア

リモートワークの普及に伴い、内定式をオンラインやハイブリッド形式で実施する企業も増えています。オンラインには場所の制約がないメリットがある一方、一体感の醸成や参加者の集中力維持といった課題もあります。ここでは、その課題を乗り越え、オンラインでも満足度の高い内定式を実現するアイデアを紹介します。

オンライン開催を成功させる3つの原則

オンライン内定式を成功させるためには、対面とは異なるアプローチが必要です。以下の3つの原則を意識しましょう。

双方向性を意識する
一方的な情報発信はNG。チャットやリアクション機能、アンケート機能などを多用し、常に参加者の反応を促しましょう。

参加のハードルを下げる
カメラONを強制しない、発言しやすい雰囲気を作るなど、参加者が心理的に安心して参加できる環境を整えます。

意図的な雑談をデザインする
対面なら自然に生まれる雑談も、オンラインでは生まれません。ブレイクアウトセッションや短い休憩時間を活用し、雑談が生まれる「余白」を意図的に作りましょう。

参加型で飽きさせないオンラインゲーム&アクティビティ

PCやスマートフォンの画面を見続けるオンラインでは、参加者を飽きさせない工夫が不可欠です。オンラインツールを活用した参加型の企画を取り入れましょう。

オンラインクイズ大会
オンラインクイズツール「Kahoot!」などを使い、企業や同期に関するクイズ大会を実施。チーム対抗戦にすると盛り上がります。

オンライン合意形成ゲーム
「砂漠で遭難したら?」といったテーマで、グループで協力して答えを導き出すゲーム。コミュニケーションとチームビルディングを促進します。

オンラインホワイトボード活用
「Miro」や「Google Jamboard」といったオンラインホワイトボードを使い、付箋で自己紹介をしたり、アイデアを出し合ったりします。思考が可視化され、議論が活性化します。

テクノロジー活用術(バーチャルツアー、ブレイクアウトセッション)

オンラインならではのテクノロジーを駆使することで、対面にも劣らない体験を提供できます。

バーチャルオフィスツアー
360度カメラで撮影した映像や、Matterportなどのツールを使って、実際にオフィスを歩いているかのような体験を提供。遠方の内定者もリアルな職場環境を知ることができます。

ブレイクアウトセッションの徹底活用
Zoomなどのブレイクアウトセッション機能は、少人数での深い対話に最適です。社員を各ルームに配置した座談会や、内定者同士のフリートークなど、目的別に細かくグループを分けて活用しましょう。セッションの時間を短くし、メンバーを頻繁に入れ替えるのも効果的です。

内定式を失敗しないためのステップとチェックリスト

素晴らしいコンテンツを企画しても、準備や当日の運営がうまくいかなければ、その効果は半減してしまいます。内定式を成功に導くための、企画から振り返りまでの5つのステップと、それぞれのチェックリストを紹介します。

Step 1: 目的とゴール(KPI)の明確化

まずは「何のために内定式を行うのか」という目的を明確に定義します。ここが曖昧だと、コンテンツも散漫なものになってしまいます。目的を明確にしたら、その達成度を測るためのゴール(KPI)も設定しましょう。

目的の例
内定者の不安を払拭し、内定辞退を防ぐ。同期・社員との関係構築を促し、帰属意識を高める。

KPIの例
内定式後の内定承諾率の維持・向上。参加後アンケートの満足度スコア(5段階評価で平均4.5以上など)。内定者SNSグループの開設率。

Step 2: プログラム設計と社内調整

設定した目的とゴールから逆算して、具体的なプログラムとコンテンツを設計します。誰に、何を、どのように体験してもらうかを具体的に落とし込み、タイムスケジュールを作成します。同時に、登壇する役員や協力してもらう社員への依頼、会場や機材の手配といった社内調整も進めましょう。

チェックリスト

  • 目的・ゴールは明確か?
  • ターゲット(内定者)のニーズを捉えているか?
  • タイムスケジュールに無理はないか?
  • 登壇者や協力社員への依頼は完了したか?(目的や役割も併せて伝える)
  • 会場やオンラインツール、備品の手配は万全か?

Step 3: 内定者への丁寧な事前コミュニケーション

内定式当日だけでなく、それまでのコミュニケーションも重要です。日時や場所、服装といった事務連絡はもちろんのこと、「なぜこの内定式を行うのか」「皆さんにとってどんな価値があるのか」といった目的や想いを伝えることで、内定者の参加意欲と期待感を高めることができます。

チェックリスト

  • 開催案内は分かりやすく、ワクワクする内容か?
  • 内定式の目的や想いを伝えているか?
  • 当日のコンテンツ概要を伝え、期待感を醸成できているか?
  • 服装や持ち物など、内定者が不安に思いそうな点への配慮はできているか?
  • 事前課題やアンケートがある場合、その意図も伝えているか?

Step 4: 当日のスムーズな進行と雰囲気作り

当日は、とにかく「歓迎している」という温かい雰囲気作りを最優先に考えましょう。受付での明るい挨拶、ウェルカムボードの設置、役員や社員からのビデオメッセージなど、細やかな心配りが内定者の心を和ませます。司会進行はタイムキープを意識しつつも、ハプニングにも柔軟に対応できる準備をしておきましょう。

チェックリスト

  • 受付の対応は丁寧で温かいか?
  • 歓迎ムードを演出する工夫(装飾、BGMなど)はあるか?
  • 司会進行役やアテンド役の役割分担は明確か?
  • 機材トラブルなどを想定したバックアッププランはあるか?(特にオンライン)
  • 社員が内定者と積極的にコミュニケーションを取るよう意識付けできているか?

Step 5: 次年度に繋げるアンケートと振り返り

内定式は実施して終わりではありません。必ずアンケートを実施し、内定者のリアルな声を集めましょう。良かった点、改善すべき点を分析し、次年度の企画に活かすことで、内定式の質は年々向上していきます。社内の協力者からもフィードバックをもらい、運営全体の振り返りを行うことも重要です。

チェックリスト

  • アンケートは当日中、もしくは翌日までに依頼できているか?
  • アンケート項目は具体的で、次につながる内容か?(例:「最も印象に残ったコンテンツとその理由は?」)
  • 回収したアンケート結果を分析し、レポートにまとめたか?
  • 運営チームや協力社員と振り返り会を実施したか?
  • 次年度に向けた改善点をまとめたか?

採用戦略に関するご相談はYUTORIにお任せください

「採用コストが増加している」「求人広告の効果が下がってきた」「社内に採用ノウハウが蓄積されない」といったお悩みはございませんか? 株式会社YUTORIが提供する「採用コンソーシアム」は、こうした企業の採用課題を包括的に解決するための新しい支援の形です。

私たちの強みは、Webマーケティングを主軸に、各分野の専門家(媒体、HP制作、広告分析など)がチームとなって連携し、貴社の課題を多面的に解決することです。ペイドメディアの最適化によるコスト削減はもちろん、オウンドメディアの構築やSNS・口コミを活用したアーンドメディア戦略で、短期的な成果だけでなく、持続可能な自社採用力の強化(内製化支援)まで実現します。

実際に、オウンドメディアの構築と最適化によって応募単価を88%削減した事例や 、SNS活用により応募者のスクリーニング通過率を40%向上させた実績もございます。

画一的なコンサルティングとは異なり、貴社の「採用チームの一員」として課題に寄り添い、必要な施策をオーダーメイドでご提案します。採用戦略の見直しから採用ブランディングの強化まで、まずはお気軽にご相談ください 。

X
Facebook
LinkedIn
Threads
上部へスクロール