採用活動にLINEの活用はあり?人事担当者が知るべきメリットとコンテンツ戦略

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多くの企業が採用活動のあり方を模索する中、コミュニケーションツールとして絶大な普及率を誇る「LINE」を活用する企業が急増しています。従来のナビサイトや人材紹介だけに頼った採用手法では、求める人材へのアプローチが難しくなっているのが現状です。「候補者と連絡がつきにくい」「説明会や選考の参加率が低い」「内定を出しても辞退されてしまう」といった課題は、多くの人事担当者が抱える悩みではないでしょうか。

本記事では、こうした課題を解決する一手として「LINE採用」に焦点を当てます。企業と候補者双方のメリットから、具体的な導入ステップ、候補者の心をつかむコンテンツ戦略、成果を最大化するための便利機能、そして失敗しないための注意点まで、人事担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、明日からでもLINE採用を始め、競合他社に差をつけるための一歩を踏み出せるはずです。

採用担当者・候補者双方にメリット多数!LINE活用の利点

なぜ今、多くの企業が採用活動にLINEを取り入れているのでしょうか。その理由は、LINEが持つ「日常性」と「手軽さ」が、企業と候補者の双方に大きなメリットをもたらすからです。ここでは、それぞれの立場から見たLINE活用の具体的な利点について解説します。

【企業側】採用コストの最適化と工数削減を実現

LINE公式アカウントは、無料でアカウントを開設でき、無料プランでも月200通までのメッセージ配信が可能です。有料プランも比較的安価なため、従来の求人広告や人材紹介サービスと比較して、採用コストを大幅に抑えることが可能です。 また、説明会の日程調整やリマインド、よくある質問への自動応答設定などを活用すれば、これまで電話やメールで行っていた煩雑な業務を自動化できます。

人事担当者は候補者一人ひとりとの丁寧なコミュニケーションなど、より重要度の高い業務に集中できるようになり、採用活動全体の工数削減と効率化が実現します。

【企業側】選考離脱・内定辞退率を劇的に改善

メールボックスに埋もれがちな企業からの連絡も、LINEであればプッシュ通知で候補者の目に留まりやすく、開封率の向上が期待できます。説明会や面接前のリマインドを確実に届けることで、無断キャンセルを防ぎます。 さらに、選考の合間や内定後に、社員紹介や社内の雰囲気といったカジュアルな情報を定期的に配信することで、候補者との心理的な距離を縮め、企業への帰属意識(エンゲージメント)を高めることができます。この継続的なコミュニケーションが、選考途中での離脱や内定辞退の防止に絶大な効果を発揮します。

【候補者側】手軽な情報収集とスムーズな応募プロセス

特に若年層にとって、LINEは日常的に利用する最も身近なコミュニケーションツールです。そのLINEアプリ内で、企業の情報を手軽に収集し、興味があればそのまま説明会予約や応募に進める手軽さは、候補者にとって大きな魅力です。 メールよりも気軽に質問できる1対1のチャット機能は、選考に関する些細な疑問や不安を解消しやすく、企業への親近感を抱くきっかけにもなります。応募へのハードルが下がることで、これまでアプローチできなかった潜在的な候補者層からの応募も期待できるでしょう。

LINE採用の導入・運用3ステップ

LINE採用のメリットを理解したところで、次に気になるのは「どうやって始めればいいのか」という点でしょう。ここでは、アカウント開設から運用体制の構築までを解説します。

ステップ 1:LINE公式アカウントの開設と初期設定

まずは、LINEの公式サイトから「LINE公式アカウント」を開設します。個人のLINEアカウントとは別に、ビジネス用の「認証済アカウント」を取得することが推奨されます。 アカウントが開設できたら、企業の顔となるプロフィールを設定しましょう。アイコンには企業のロゴを、背景にはオフィスの写真や社員の集合写真などを設定すると良いでしょう。また、友だち追加時に自動で送信される「あいさつメッセージ」は、候補者が最初に目にする重要なコンテンツです。

感謝の言葉と共に、今後の配信内容や友だちでいることのメリットを伝え、ブロックされない工夫を凝らしましょう。

ステップ 2:候補者を集める「友だち登録」の効果的な導線設計

LINE採用は、候補者に「友だち」として登録してもらわなければ始まりません。合同説明会や学内セミナーのブースでQRコードを提示したり、自社の採用サイトやSNSに登録用URLを設置したりと、あらゆる接点で友だち登録を促す導線を設計することが重要です。 その際、「LINE登録者限定の社員座談会動画を公開中!」「登録者には選考の最新情報をいち早くお届け!」のように、候補者が友だち登録したくなるようなメリットを明確に提示することが、登録者数を増やすカギとなります。

ステップ 3:応募から入社まで、一貫したフォローアップ体制の構築

友だちが集まったら、いよいよ本格的な運用のスタートです。重要なのは、応募前から入社後まで、候補者のフェーズに合わせて一貫したコミュニケーションを取り続けることです。 例えば、説明会参加者にはお礼メッセージを、一次面接通過者には二次面接のポイントを、そして内定者には同期との交流会の案内を送るなど、各段階で適切なフォローアップを行う体制を事前に構築しておきましょう。

この丁寧なコミュニケーションが、候補者のエンゲージメントを高め、最終的な入社へと繋がります。

採用活動におけるLINEで配信すべきコンテンツ戦略

「友だちは集まったけれど、一体何を配信すれば良いのだろう?」これは、多くの人事担当者が直面する悩みです。大切なのは、やみくもに情報を送るのではなく、候補者の心理状態や検討フェーズに合わせたコンテンツを戦略的に配信することです。ここでは、候補者のファン化を促すコンテンツ戦略を4つのフェーズに分けて解説します。

【認知・興味】企業の魅力を伝えるコンテンツ

このフェーズの目的は、まず自社を知ってもらい、「この会社、なんだか面白そう」と興味を持ってもらうことです。求人票の文面だけでは伝わらない、企業の「素の魅力」を発信しましょう。

コンテンツ例

  • 写真や動画で紹介するオフィスツアー
  • 若手社員やエース社員へのインタビュー記事・動画
  • 「とある社員の1日」といった密着コンテンツ
  • 社内イベントや部活動の様子のレポート

【比較・検討】選考参加を後押しするコンテンツ

他社と比較検討している候補者に対し、より深い情報を提供して「この会社の話をもっと聞いてみたい」と思わせ、選考への参加を後押しするフェーズです。

コンテンツ例

  • 事業内容や今後のビジョンに関する詳しい解説
  • 現場社員が語る「仕事のやりがい」や「プロジェクトストーリー」
  • 募集職種ごとのキャリアパス紹介
  • LINE登録者限定の説明会やオンライン座談会の案内

【応募・選考】安心感を与えるフォローコンテンツ

応募や選考に進んだ候補者の不安を和らげ、安心して次のステップに進んでもらうためのフェーズです。丁寧なフォローで、選考途中の離脱を防ぎます。

コンテンツ例

  • 選考フローの詳しい説明
  • 「人事担当者が語る、面接のポイント」
  • 候補者からよく寄せられる質問と回答(FAQ)
  • 面接日程のリマインドや、次の選考に進む方への応援メッセージ

【内定・入社】入社意欲を維持するエンゲージメントコンテンツ

内定を出した後も気は抜けません。いわゆる「内定ブルー」を防ぎ、入社日までの期間も繋がりを保ち続けることで、「この会社に決めて良かった」という納得感を醸成し、入社意欲を維持・向上させるフェーズです。

コンテンツ例

  • 内定者懇親会やオンライン交流会の案内
  • 同期となる内定者メンバーの自己紹介リレー
  • 入社までに準備しておくこと、勉強しておくと良いことのアドバイス
  • 先輩社員からの歓迎メッセージ動画

採用成果を最大化するLINEの機能5選

LINE公式アカウントには、採用活動を強力にサポートする様々な機能が備わっています。これらの機能を使いこなすことで、より効率的かつ効果的な採用アプローチが可能になります。ここでは、特に採用担当者が押さえておくべき5つの便利機能を紹介します。

リッチメニュー:採用サイトの入口をトーク画面に常設

リッチメニューとは、トーク画面の下部に固定で表示されるタイル状のメニューです。ここに「企業説明会」「募集要項」「社員紹介」「FAQ」などへのリンクを設置することで、候補者はいつでも必要な情報へ簡単にアクセスできます。採用サイトのポータルのような役割を果たし、候補者の利便性を飛躍的に高める機能です。

セグメント配信とタグ付け:候補者に合わせた情報提供

「友だち」全員に同じメッセージを送るのではなく、候補者の属性に合わせて情報を出し分けるのがセグメント配信です。例えば、事前に取得したアンケート結果などから「26卒・文系・営業職希望」といったタグを付けておくことで、その候補者に最適な情報だけを届けられます。パーソナライズされた情報提供は、開封率やクリック率を高め、より深いエンゲージメントに繋がります。

ステップ配信:友だち追加から応募意欲を高める自動シナリオ

ステップ配信は、「友だち追加」や「特定のアンケートへの回答」といったアクションを起点に、あらかじめ設定した複数のメッセージを、指定したタイミングで自動配信する機能です。例えば、友だち追加から1日後に会社紹介、3日後に社員インタビュー、7日後に説明会案内…といったシナリオを組むことで、手間をかけずに候補者の興味・関心を段階的に引き上げ、応募意欲を高めることができます。

1対1チャット:丁寧なコミュニケーションで信頼を構築

自動配信だけでなく、候補者からの個別の質問や相談に丁寧に対応することも、LINE採用の成功には不可欠です。1対1のチャット機能を活用し、候補者一人ひとりの不安に寄り添うことで、他社にはない「特別感」や「安心感」を与えることができます。この丁寧なコミュニケーションが、企業への信頼感を醸成し、最終的な入社決断の決め手となることも少なくありません。

分析機能:データに基づいた採用活動の改善

LINE公式アカウントには、メッセージの開封率やクリック数、友だち追加数やブロック数などを確認できる分析機能が備わっています。どのコンテンツの反応が良かったのか、どのタイミングの配信が効果的だったのかをデータで振り返り、PDCAサイクルを回すことが重要です。「やりっぱなし」にせず、データに基づいた改善を繰り返すことで、採用活動の成果を最大化できます。

LINE活用で失敗しないための注意点と運用体制の作り方

手軽に始められるLINE採用ですが、運用方法を誤ると企業の評判を落としたり、トラブルに発展したりするリスクも伴います。ここでは、LINE活用を成功させるために、事前に押さえておくべき注意点と、継続的な運用に必要な体制づくりについて解説します。

複数人での管理を可能にする運用ルールの策定

採用担当者が一人で全ての運用を担うと、業務が属人化し、担当者の不在時や退職時に対応が滞ってしまいます。複数人で管理できるよう、事前に運用ルールを策定しましょう。「メッセージの返信は〇時間以内に行う」「候補者への言葉遣いは〇〇で統一する」「チャット対応は平日9時~18時まで」など、具体的なルールを設けてチーム内で共有することが、安定した運用の基盤となります。

個人情報保護と情報漏洩リスクへの対策

LINE上で候補者の氏名や連絡先などを取り扱う際は、個人情報の保護に最大限の注意を払う必要があります。アカウントのログイン情報の厳重な管理はもちろん、誰がどの情報にアクセスできるのかという権限設定を適切に行いましょう。また、取得した個人情報の利用目的を定めたプライバシーポリシーを明記し、候補者に同意を得るなど、法令を遵守した運用を徹底してください。

成果を可視化するKPIの設定方法

「なんとなく運用している」状態では、LINE採用が成功しているのかどうかを判断できません。目的を明確にし、その達成度を測るためのKPIを設定しましょう。例えば、「月間の友だち登録数」「説明会へのLINE経由の予約率」「LINE経由の応募転換率」「内定者のLINE登録率」などがKPIの例として挙げられます。定期的にKPIの数値を追い、目標達成に向けた改善策を講じることが重要です。

LINEを活用した採用戦略の立案・実行はYUTORIにご相談ください

本記事で解説したように、LINE採用は候補者との関係を構築しファンになってもらうための強力なツールです。しかし、その効果を最大化するには、LINEという一つのツールだけでなく、採用活動全体の戦略の中でどう位置づけるかが重要になります。

株式会社YUTORIでは、LINE運用を専門とする企業を含む、各分野のプロフェッショナルと連携する「採用コンソーシアム」という形で、企業の採用活動を多面的に支援しています。私たちは、単に施策を代行するのではなく、貴社の採用チームの一員として課題に併走します。

「採用コストを削減したい」「求人広告の効果が薄い」「質の高い応募者が集まらない」といったお悩みに対し、LINE活用はもちろん、ペイドメディアの最適化、オウンドメディア(自社採用サイト)の構築、SNSや口コミを活用した採用ブランディングまで、課題に応じた最適な解決策をオーダーメイドでご提案可能です。

短期的な成果だけでなく、社内に採用ノウハウを蓄積し、持続可能な自社の採用力を育てること(=内製化支援)をゴールとしています。採用に関するお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。

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