Webサイト保守費用を徹底解説|相場・内訳から最適な依頼先の選び方まで

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Webサイトは「公開して終わり」ではありません。むしろ、公開してからが本当のスタートと言えます。顧客との接点となり、情報を発信し、時には売上を生み出す重要な資産であるWebサイトを、常に最高の状態で稼働させ続けるためには「保守」が不可欠です。

しかし、「保守って具体的に何をするの?」「費用はどれくらいかかるのが普通?」「どの会社に頼めばいいのかわからない」といった悩みを抱えるWeb担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなWebサイト保守に関する疑問を解決します。保守を怠った場合のリスクから、費用の相場、詳細な内訳、そして失敗しない保守会社の選び方、さらにはコストを賢く最適化する方法まで、企業のWeb担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。

Webサイトの保守とは?保守を怠ることで発生する4大リスク

Webサイトの保守とは、端的に言えば「Webサイトを24時間365日、正常かつ安全に動かし続けるための管理業務全般」を指します。これには、サーバーやドメインの管理といったインフラ面の維持から、セキュリティ対策、コンテンツのバックアップ、システムのアップデートまで、多岐にわたる作業が含まれます。

これらの保守業務は、サイトの安定稼働、いわば「守り」の側面を担う非常に重要な役割を果たします。では、もしこの保守を怠ると、具体的にどのような事態が起こりうるのでしょうか。ここでは、代表的な4つのリスクについて解説します。

リスク1:サイバー攻撃による情報漏洩とサイト改ざん

Webサイトは常に悪意のある第三者からのサイバー攻撃の脅威に晒されています。特に、WordPressなどのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の脆弱性を狙った攻撃は後を絶ちません。保守を怠り、システムやプラグインが古いバージョンのままだと、セキュリティホール(脆弱性)を突かれて不正アクセスを許してしまいます。結果として、サイトが改ざんされたり、顧客情報や機密情報が漏洩したりする可能性があります。情報漏洩は、損害賠償だけでなく、企業の社会的信用を根底から揺るがす深刻な事態に発展します。

リスク2:SEO評価の低下と検索順位の下落

Googleなどの検索エンジンは、ユーザーにとって有益で安全なサイトを高く評価する傾向にあります。サイトの表示速度が遅い、頻繁にサーバーがダウンする、セキュリティが脆弱であるといった状態は、検索エンジンからの評価(SEO評価)を下げる要因となります。また、古いシステムが原因でスマートフォンでの表示が崩れてしまう(モバイルフレンドリーでない)場合も、評価は著しく低下します。SEO評価が下がれば、当然検索順位も下落し、自然検索経由でのアクセス数減少に直結します。

リスク3:ブランドイメージの毀損と顧客信頼度の低下

「アクセスしたらウイルス対策ソフトが警告を出した」 「ページが文字化けしていて読めない」 「問い合わせフォームから個人情報を送るのが不安」

このような状態のWebサイトを、顧客は信頼できるでしょうか。サイトの管理がずさんであるという印象は、そのまま企業全体のイメージ低下につながります。サイバー攻撃によるサイト改ざんで不適切な情報が表示されたり、フィッシングサイトに誘導されたりすれば、ブランドイメージは大きく毀損され、顧客の信頼を取り戻すことは非常に困難になります。

リスク4:表示崩れやサーバーダウンによる機会損失

サーバーの契約更新忘れや、アクセス集中によるサーバーダウン、システムの不具合による表示崩れなどが発生すると、ユーザーはサイトを閲覧できなくなります。もしそれがECサイトであれば、販売の機会を直接失うことになります。コーポレートサイトであっても、サービス資料の請求や問い合わせといった見込み顧客獲得の機会を逃してしまいます。24時間稼働し続ける営業マンであるはずのWebサイトが機能しないことは、目に見えない大きな機会損失を生み出しているのです。

Webサイト保守費用の料金体系と価格相場

Webサイトの保守費用は、依頼する作業範囲やサイトの種類・規模によって大きく変動します。ここでは、一般的な料金体系と費用相場について解説します。自社のサイトがどのくらいの費用感になるのか、大枠を掴むための参考にしてください。

依頼範囲で決まる料金プラン別・費用相場とサービス内容

多くの制作会社や保守専門会社では、対応範囲に応じた月額制の料金プランを用意しています。

料金プラン月額費用相場主なサービス内容こんな企業におすすめ
ミニマムプラン5,000円~20,000円・サーバー/ドメイン管理
・SSL証明書管理
・基本的なセキュリティ監視
とにかくコストを抑えたい。サイト更新は自社で行い、最低限のインフラ管理だけを任せたい企業。
スタンダードプラン20,000円~50,000円・ミニマムプランの内容
・定期的なバックアップ
・CMSやプラグインのアップデート
・軽微なテキスト修正や画像差し替え(月数回程度)
・障害発生時の一次対応
お知らせ更新など、ある程度の更新作業を任せつつ、サイトを安定稼働させたい多くの企業。
プレミアムプラン50,000円~・スタンダードプランの内容
・アクセス解析と月次レポート作成
・コンテンツの企画提案、改善コンサルティング
・優先的な障害対応
Webサイトを重要なマーケティングツールと位置づけ、積極的に集客や売上向上を目指したい企業。

※上記はあくまで一般的な相場です。サイトの規模や構造の複雑さによって費用は変動します。

サイトの種類と規模で見る費用感の違い

Webサイトの種類によっても、保守の重要度や作業内容が異なるため、費用感は変わってきます。

コーポレートサイト(小~中規模)
月額1万円~5万円程度がボリュームゾーンです。お知らせの更新や、サーバー・ドメイン管理といった基本的な保守が中心となります。

ECサイト
月額5万円以上になることが一般的です。個人情報や決済情報を扱うため、高度なセキュリティ対策が必須となります。また、商品データの更新や在庫管理システムとの連携など、専門的なメンテナンスが求められるため、費用は高くなる傾向にあります。

大規模メディアサイトやポータルサイト
月額10万円~数百万円になることもあります。膨大なアクセスに耐えるサーバーの管理や、複雑なシステムのメンテナンス、24時間365日の監視体制など、高度で多岐にわたる保守業務が必要となるためです。

もう一つの目安「初期開発費の15%」という考え方

保守費用を見積もる際の、もう一つの簡易的な考え方として「初期開発費の年間15%」というものがあります。例えば、200万円かけて制作したWebサイトであれば、年間の保守費用はその15%である30万円(月額2.5万円)程度が目安になる、という計算です。もちろん、これもあくまで一つの目安であり、サイトの運用方針によって必要な保守内容は変わってきますが、予算を確保する際の参考値として覚えておくと便利です。

Webサイト保守費用の詳細な内訳10項目とそれぞれの役割

一口に「保守費用」と言っても、その中には様々な費用が含まれています。見積もりを見て「保守一式」としか書かれていない場合は注意が必要です。ここでは、保守費用を構成する代表的な10項目を「インフラ関連」「作業関連」「付加価値サービス」の3つに分類し、それぞれの役割と費用の目安を詳しく解説します。

【インフラ関連費用】サイトが存在するための基本料金

これらはWebサイトをインターネット上に公開し続けるために最低限必要な、いわば土地代や住所代のような基本料金です。

① サーバー費用

Webサイトのデータ(テキスト、画像など)を保管しておく場所(コンピューター)のレンタル費用です。性能や容量によって価格が変動します。

費用目安(月額): レンタルサーバーなら1,000円~4,000円程度。

② ドメイン費用

「example.co.jp」のような、インターネット上の「住所」にあたるドメインを維持するための費用です。1年ごとに更新が必要です。

費用目安(年額): 「.com」や「.net」で1,500円~3,000円程度、「.co.jp」で4,000円~8,000円程度。

③ SSL証明書費用

サイトの通信を暗号化し、なりすましを防ぐための電子証明書です。常時SSL化が必須となった現在、サイトの信頼性を担保するために不可欠です。

費用目安(年額): 無料のものから、認証レベルの高い企業実在認証型などで年間数万円~十数万円するものまで様々です。

【作業関連費用】サイトを健全に保つための予防保守

サイトの健康を維持し、トラブルを未然に防ぐための、人間でいうところの定期検診やメンテナンスにあたる費用です。

④ コンテンツ更新・修正費用

お知らせの投稿、画像の差し替え、テキストの修正など、コンテンツに関する作業費用です。更新頻度や作業量に応じて変動します。

費用目安(月額): 月数回の軽微な修正なら5,000円~15,000円程度。作業量に応じた従量課金制の場合もあります。

⑤ CMSメンテナンス費用

WordPressなどのCMS本体や、機能を追加するプラグインを最新の状態に保つための費用です。セキュリティ脆弱性をなくすために非常に重要な作業です。

費用目安(月額): 他の保守作業とセットになっていることが多いですが、単体なら5,000円~20,000円程度。

⑥ 障害・トラブル対応費用

「サイトが表示されない」「表示が崩れる」といったトラブルが発生した際に、原因を調査し復旧させるための費用です。保守契約にどこまでの対応が含まれるか確認が必要です。

費用目安: 保守プランに含まれる場合と、スポット対応で数万円~都度見積もりとなる場合があります。

⑦ セキュリティ対策費用

不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐための監視、診断、駆除作業の費用です。WAF(Web Application Firewall)の導入・運用費などが含まれることもあります。

費用目安(月額): 監視ツールの導入などで数千円~数万円。高度な対策ではさらに高額になります。

⑧ バックアップ・復旧費用

万が一の事態に備え、サイトのデータを定期的にバックアップし、必要に応じて復元するための作業費用です。

費用目安(月額): 1,000円~5,000円程度。サーバーの標準機能に含まれている場合もあります。

【付加価値サービス費用】サイトを成長させるための戦略投資

サイトを守るだけでなく、さらに活用してビジネスを成長させるための、攻めの投資にあたる費用です。

⑨ アクセス解析・レポーティング費用

Google Analyticsなどを利用してサイトのアクセス状況を分析し、分かりやすいレポートにまとめて報告してもらうための費用です。サイト改善の第一歩となります。 費用目安(月額): 10,000円~50,000円程度。レポートの粒度や考察の深さにより変動します。

⑩ Webコンサルティング費用

アクセス解析の結果などに基づき、SEO対策やコンテンツ企画、UI/UX改善など、サイトの成果を向上させるための具体的な戦略提案やアドバイスを受けるための費用です。 費用目安(月額): 50,000円~数十万円。コンサルタントの実績や提供価値によって大きく異なります。

失敗しない保守会社の選び方と契約前に確認すべき5つの重要ポイント

Webサイトの保守は、一度契約すると長期的な付き合いになることが多いため、パートナーとなる会社選びは非常に重要です。価格の安さだけで選んでしまうと、「いざという時に対応してくれない」「やりたい修正をなかなかやってもらえない」といった失敗につながりかねません。ここでは、保守会社を選ぶ際に必ず確認すべき5つのポイントを解説します。

保守・運用の対応範囲が自社のニーズと合致しているか

まずは、自社が保守会社に「何をどこまで任せたいのか」を明確にしましょう。その上で、候補となる会社のサービス内容と照らし合わせます。「サーバー管理だけでいい」のか、「日々のコンテンツ更新もお願いしたい」のか、「アクセス解析レポートをもとに改善提案までしてほしい」のかで、選ぶべき会社は全く異なります。契約後に「この作業は範囲外です」と言われることがないよう、対応範囲とそれぞれの費用を書面でしっかり確認することが重要です。

サーバー・ドメインは必ず自社名義で契約する

これは最も重要なポイントです。Webサイトという資産を守るため、サーバーとドメインの契約は必ず「自社名義」で行いましょう。制作会社や保守会社の名義で契約してしまうと、万が一その会社が倒産したり、担当者と連絡が取れなくなったりした場合に、サイトの所有権を失うリスクがあります。また、将来的に保守会社を変更したくなった際に、スムーズに移管できないトラブルの原因にもなります。契約手続きが面倒でも、必ず自社名義で契約し、IDとパスワードは自社で厳重に管理してください。

見積書の項目は明確か?「保守一式」に要注意

提示された見積書の内容が具体的で分かりやすいかを確認しましょう。「保守費用一式 月額〇〇円」といった、どんぶり勘定の見積もりを出す会社は要注意です。優良な会社であれば、「サーバー管理費」「ドメイン管理費」「CMSメンテナンス費」「コンテンツ更新作業(月〇時間まで)」のように、費用の内訳が明確に記載されています。何にいくらかかっているのかを把握することで、費用の妥当性を判断しやすくなります。

他社が制作したサイトの保守運用実績はあるか

自社サイトを制作した会社とは別の会社に保守を依頼する場合、このポイントは特に重要です。他社が構築したサイトの保守には、そのサイトの構造や使われている技術を正確に理解する必要があります。そのため、他社制作サイトの保守・運用実績が豊富な会社は、技術力や対応力が高いと判断できます。Webサイトのソースコードやサーバー環境を調査し、問題なく保守を引き継げるか、事前に診断してもらうとより安心です。

緊急時の連絡体制と対応スピードを確認する

「サイトが表示されない」「エラー画面が出る」といった緊急事態は、ビジネスの機会損失に直結するため、迅速な対応が求められます。そのため、契約前に緊急時の連絡手段(電話、メール、チャットなど)と、対応可能な時間帯(平日日中のみか、24時間365日か)を必ず確認しましょう。また、実際に問い合わせてみて、返信の速さや対応の丁寧さを見てみるのも、その会社の姿勢を判断する良い材料になります。

Webサイトの保守費用を賢く最適化する5つの方法

Webサイトの安定稼働に保守費用は不可欠ですが、無駄なコストはできるだけ削減したいと考えるのが当然です。ここでは、サイトの品質を落とさずに、保守費用を賢く最適化するための具体的な方法を5つご紹介します。

CMSを導入し、簡単な更新作業を内製化する

お知らせの投稿や、ブログ記事の追加、施工事例の更新といった定型的な作業は、WordPressなどのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入することで、専門知識がない担当者でも比較的簡単に行えます。これらの軽微な更新作業を内製化するだけで、外部に支払う作業費用を大幅に削減できる可能性があります。保守会社には、専門知識が必要なサーバー管理やセキュリティ対策に特化して依頼するという切り分けが有効です。

自社の更新頻度や目的に見合った契約プランを選択する

「月に1回しか更新しないのに、手厚いコンテンツ更新サポートが付いた高額なプランに入ってしまっている」というケースは少なくありません。自社のサイト運用の実態(更新頻度、求めるサポートレベル)を改めて見直し、現在の契約プランが過剰でないかを確認しましょう。より安価なプランに変更したり、必要な作業が発生した時だけスポットで依頼する「従量課金制」に切り替えたりすることで、コストを最適化できます。

サーバーやドメインは自社で直接契約・管理する

保守会社によっては、サーバーやドメインの契約代行・管理を行ってくれますが、その際に手数料が上乗せされている場合があります。前述の通り、自社名義で契約することは資産保護の観点からも重要ですが、コスト面でもメリットがあります。レンタルサーバー会社やドメイン取得サービスと直接契約することで、中間マージンをなくし、コストを最小限に抑えることが可能です。

サイト制作段階から保守・運用を見据えた設計を依頼する

これからWebサイトを制作、あるいはリニューアルする場合は、設計段階から保守・運用のしやすさを考慮してもらうことが重要です。例えば、「この部分のお知らせは自社で簡単に更新できるようにしたい」「将来的にこの機能を追加する可能性がある」といった要望を事前に伝えておくことで、後々の改修コストや保守の手間を削減できる、拡張性の高いサイトを構築できます。

複数の業者から相見積もりを取り、サービス内容を比較検討する

保守を外部に依頼する際は、必ず複数の会社から見積もりを取りましょう。1社だけの見積もりでは、その価格やサービス内容が適正かどうか判断できません。複数の見積もりを比較することで、自社のニーズに合ったサービスを提供してくれる、コストパフォーマンスの高い会社を見つけ出すことができます。その際は、金額だけでなく、サービス範囲、実績、サポート体制などを総合的に比較検討することが大切です。

サイト制作及び運用保守はYUTORIにお任せください

株式会社YUTORIは、Webサイト制作からその後の運用保守、さらにはWebマーケティングまでワンストップで支援する総合パートナーです。お客様の目的やビジョンに沿って企業の魅力を最大限に引き出すクリエイティブを制作します。

YUTORIの強みは、Webサイトを「作って終わり」にしない点にあります。Webマーケティングを主軸とし 、リスティング広告やmeta広告、SNS運用、LINE公式アカウントの活用など、成果につながる戦略をご提案します。

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