「募集をかけても応募がほとんどない」「入職してくれた人が、イメージと違ったと数か月で辞めてしまう」。こうした悩みは、多くの介護事業所に共通しています。
厚生労働省の推計では、必要な介護職員の数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人とされ、2022年度の約215万人から大きく増える見込みです。人材の確保が難しいなか、給与や休日などの条件を求人票に並べるだけでは、ほかの事業所との違いが伝わりにくくなっています。
介護労働安定センターの調査では、介護労働者が今の職場を選んだ理由として「通勤が便利」「職場の人間関係がよさそう」「自分のやりたい介護ができそう」が上位に挙がっています。こうした情報は求人票の項目だけでは伝えきれないため、採用サイトで補うことが有効です。
本記事では、介護の採用サイトに掲載したいコンテンツと、応募につなげる作り方の手順、注意したいポイントを解説します。
目次
介護業界で採用サイトが求められている理由
介護人材の需要はこれからも増える
厚生労働省が第9期介護保険事業計画をもとに集計した推計によると、介護職員は2022年度の約215万人に対して、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人多く必要になります。
介護労働安定センターの令和7年度「介護労働実態調査」でも、従業員が不足していると感じている事業所は65.8%にのぼり、訪問介護員に限ると82.9%でした。
求職者にとっては、選べる求人が多い状況です。「なぜこの事業所で働くのか」を判断できる材料を、事業所側が用意しておく必要があります。
求人票では「どんな職場か」が伝わりにくい
求人票は、給与や勤務時間、資格要件などを比較しやすい形で載せるのに向いています。一方で、同じ「特別養護老人ホームの介護職員」でも、ユニットの人数、夜勤の体制、職員同士の声のかけ方、看取りへの向き合い方などは事業所ごとに異なります。
こうした違いは求人票の項目欄に収まりにくいものです。採用サイトは、求人票の条件を補い、働く様子を具体的に伝える役割を担います。
紹介や求人サイトで知った人が、応募前に確かめる場所になる
同じ調査で、介護労働者が今の法人に就職した経路は「友人・知人からの紹介」が33.8%で最も多く、次いで「ハローワーク」が19.4%でした。勤続1年未満の人に限ると、紹介(29.3%)に続いて「求人情報サイト」(21.3%)が多くなっています。
どの経路で事業所を知った場合でも、応募の前に事業所名で検索して詳しい情報を探す人はいます。そこで職場の様子が分かれば、応募へ進む後押しになります。職員が知人を紹介するときも、採用サイトのURLを渡せば説明しやすくなります。
求職者が介護の職場選びで重視していること
介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査」では、介護労働者が今の法人に就職した理由(複数回答)として、次のような結果が出ています。
| 就職した理由 | 全体 | 勤続1年未満 |
|---|---|---|
| 通勤が便利だから | 51.8% | 52.1% |
| 職場の人間関係がよさそうだったため | 35.1% | 41.7% |
| 自分のやりたい介護ができそうだったため | 34.2% | 40.3% |
| 有給休暇などの各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすいため | 25.3% | 23.8% |
| 時間外労働が少ないため | 18.5% | 30.5% |
| 賃金水準が比較的高いため | 17.4% | 22.5% |
| 法人の方針や理念に共感したため | 14.8% | 21.9% |
最も多いのは通勤のしやすさで、人間関係と「やりたい介護ができるか」が続きます。直近1年以内に就職した人では、人間関係、介護の方針、時間外労働の少なさを挙げる割合が全体より高くなっています。
また、直前の仕事が介護関係だった人がその職場を辞めた理由は、「職場の人間関係に問題があったため」(27.3%)、「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため」(21.0%)が上位でした。
求職者は、条件面に加えて「誰と、どのような考え方で働くのか」を知りたいと考えています。採用サイトでこの部分を具体的に見せることが、応募を後押しします。
介護の採用サイトに掲載したいコンテンツ
1.通勤のしやすさと勤務地
事業所ごとの所在地、最寄り駅やバス停からの距離、車・バイク通勤の可否、駐車場の有無を載せます。訪問介護であれば、訪問エリアや移動手段(自転車・社用車など)も判断材料になります。
複数の事業所がある法人は、地図や一覧から勤務地を選べるようにすると、求職者が自分に合う事業所を探しやすくなります。
2.一緒に働く職員と職場の雰囲気
フロアやユニットごとの職員数、年齢層、経験年数の幅、申し送りや相談の仕方などを紹介します。
職員インタビューでは、入職した理由だけでなく「困ったときに誰に相談しているか」「入職前に不安だったことは何か」といった質問を入れると、人間関係がより想像しやすくなります。
3.大切にしている介護の方針
理念を抽象的な言葉だけで終わらせず、日々のケアの場面に置き換えて伝えます。たとえば「一人ひとりの生活リズムを尊重する」という方針であれば、起床や入浴の時間をどのように決めているか、レクリエーションを誰がどう企画しているかなど、具体的な取り組みとあわせて示します。
4.勤務形態と休みの取りやすさ
シフトのパターン、夜勤の回数と人員体制、休憩の取り方、希望休の出し方、有給休暇の取得状況、月平均の残業時間などを掲載します。
数値を載せる場合は、対象期間や算出方法を添えておくと、実態とのずれによる誤解を防げます。
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5.未経験・無資格の人への教育体制
介護労働安定センターの同調査では、介護職員・訪問介護員として働く人の直前の仕事は「介護・福祉・医療関係以外の仕事」が最も多く(介護職員36.1%、訪問介護員40.3%)、そのうち約85%は介護の仕事の経験がない人でした。
他業種から入る人に向けて、入職後の研修の流れ、独り立ちまでの目安期間、先輩職員がそばについて教える体制、資格取得の支援制度などを具体的に伝えましょう。
6.職種・サービスごとの仕事内容
介護職員、看護職員、生活相談員、介護支援専門員など、職種によって知りたい情報は異なります。また、訪問・通所・入所では、サービスの流れも働き方も変わります。
職種とサービスごとに1日の流れや担当する業務を分けて掲載すると、求職者が自分に合う求人を選びやすくなります。
実際の採用サイトや採用LPの事例を見ると、ここまでの情報をどう配置するかイメージしやすくなります。
応募につなげる介護の採用サイトの作り方
ここでは、採用サイトを作る際の進め方を6つのステップで整理します。業種は異なりますが、建設業や運送会社の採用サイトについても、別の記事で解説しています。
1.採用したい職種と人物像を決める
「人手が足りないから、とにかく誰か来てほしい」という状態のままでは、掲載する内容を絞り込めません。どの事業所の、どの職種を、何人採用したいのか。経験者と未経験者のどちらを優先するのか。まず採用の対象をはっきりさせます。
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2.現場の職員から伝える材料を集める
採用担当者だけで原稿を作ると、現場の実感とずれた内容になることがあります。現場の職員へのアンケートや短いヒアリングを行い、入職の決め手、仕事のやりがい、大変だと感じること、職場の好きなところを集めます。
求職者が重視する「人間関係」や「介護の方針」は、現場の職員自身の言葉で語られるほうが伝わります。
3.職場が分かる写真や動画を用意する
フロアの様子、休憩室、送迎車、研修の風景など、実際の職場が分かる写真を用意します。
利用者の方が写る場合は、本人やご家族に用途を説明して同意を得たうえで掲載します。同意が得られない場面は、職員だけを撮影する、個人が特定されない構図にするなどの配慮が必要です。
4.スマートフォンから応募・見学しやすくする
求人情報はスマートフォンで閲覧されることも多いため、どのページからでも応募フォームや電話番号へすぐに進めるようにします。入力項目は、最初の連絡に必要なものに絞りましょう。
「応募の前に職場を見てみたい」という人のために、見学の申し込み窓口を用意しておくのも有効です。
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5.求人票や紹介から採用サイトへつなぐ
採用サイトは、公開するだけでは見てもらえません。ハローワークや求人サイトの求人票に採用サイトのURLを載せる、職員が知人を紹介するときにURLを共有する、SNSで職場の日常を発信して採用サイトへ誘導するなど、求職者が事業所を知る経路から採用サイトへたどり着ける流れを作ります。
6.公開後も情報を更新し、改善を続ける
掲載から時間がたつと、募集を終えた職種や改定前の給与が残ってしまうことがあります。古い情報が一つ見つかると、求職者はほかの記載も疑うようになります。採用の状況や職員紹介は定期的に見直し、アクセスの多いページや途中で離れられているページを確かめながら手直ししていきましょう。
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介護の採用サイトで気をつけたいこと
- 実態より良く見せすぎない:入職後に「聞いていた話と違う」と感じると、早期離職につながりかねません。同調査では29歳以下の離職率が17.3%と、ほかの年齢層より高くなっています。仕事の大変さも含めて、誠実に伝えましょう。
- 利用者のプライバシーに配慮する:写真だけでなく、職員インタビューやブログで利用者のエピソードを紹介する場合も、個人が特定されない書き方にします。
- 求人票と条件をそろえる:給与、休日、夜勤回数などが求人票と採用サイトで食い違っていると、どちらの情報も信頼されにくくなります。
- 事業所や職種が多い場合は入口を整理する:情報を1ページに詰め込まず、勤務地や職種から目的の求人へ迷わずたどり着ける構成にします。
自社の採用サイトを見直すチェックリスト
- 事業所ごとの場所と通勤方法が分かる
- 一緒に働く職員の人数や雰囲気が分かる
- 介護の方針が、具体的なケアの場面とともに説明されている
- シフト、夜勤、休みの取り方が分かる
- 未経験者の研修や資格取得支援の内容が分かる
- 職種・サービスごとに仕事内容が分かれている
- スマートフォンから応募や見学の申し込みができる
- 求人票と採用サイトの条件が一致している
- 半年以上更新されていないページがない
チェックがつかなかった項目は、求職者が応募前に知りたい情報が不足しているサインです。
どこから手をつけるべきか迷う場合は、現在の採用サイトや求人票を見ながら、優先順位を一緒に整理することもできます。
介護の採用サイトに関するよくある質問
利用者さんが写った写真を採用サイトに載せてもよいですか?
掲載する場合は、本人やご家族に用途を説明し、同意を得ることが前提です。同意を得にくい場合は、職員の写真や、個人が特定されない構図の写真を中心に構成しましょう。
事業所やサービスが複数ある場合は、どのようにまとめればよいですか?
法人全体に共通する理念、研修制度、福利厚生は共通のページにまとめ、勤務地、サービス内容、職員紹介は事業所ごとのページに分けるのが基本です。トップページには、勤務地や職種から求人を探せる入口を用意しましょう。
外国人の介護職員の採用にも採用サイトは役立ちますか?
受け入れの実績、生活面のサポート、日本語学習の支援などを紹介しておくと、候補者や紹介機関に事業所の体制を伝えやすくなります。多言語のページを用意するかどうかは、採用したい人材や採用ルートに合わせて判断します。外国人採用の基本は外国人採用の基本|メリット・注意点・採用方法を詳しく解説で解説しています。
採用サイトの制作費用はどのくらいかかりますか?
ページ数、写真撮影や取材の有無、掲載する職種や事業所の数によって大きく変わります。費用の考え方は採用サイト制作の費用相場|料金別の機能や依頼先の選び方まで解説で詳しく紹介しています。予算が限られている場合は、採用したい職種や事業所を1つに絞った採用LPから始める方法もあります。
まとめ|介護の採用サイトは「ここで働く毎日」が想像できる情報から
介護の求職者は、給与や休日に加えて、通勤のしやすさ、一緒に働く人、事業所が大切にしている介護の考え方を見て職場を選んでいます。求人票に収まりきらないこれらの情報こそ、現場の言葉と写真を使って採用サイトで見せていきましょう。
「求人媒体に載せても応募が増えない」「採用しても定着しない」。そんな状況から抜け出せずにいるなら、掲載先を増やす前に、求職者が知りたい情報を届けられているかを見直してみませんか。
株式会社YUTORIは、求める人物像の整理やヒアリングから、採用サイトや採用LPの制作、さらにSNSや広告を活用した公開後の採用支援まで対応しています。料金の目安は料金・FAQに掲載しています。お気軽にご相談ください。



